📝 編集部より

妻でも母でもない自分に戻れた——45歳ゆかりさんが語る、婚外恋愛をきっかけに「鏡の前に立てるようになる」までの記録です。

📋 この記事の結論

  • 「妻」「母」以外の顔を失っていた女性が、外の関係をきっかけに自分を取り戻した体験談
  • 変わったのは相手との関係より、自分自身の生活と気持ちの持ち方だった
  • 関係が終わった今も、取り戻した感覚だけは残っている

👤 この体験談の語り手

  • 名前:ゆかり(仮名)
  • 年齢:45歳・女性
  • 職業:パート(スーパー・週4日)
  • 家族構成:夫・子ども2人(高1・中2)
  • 婚外恋愛歴:1年8ヶ月(終了)

「一番変わったのは彼との関係じゃなくて、鏡の前に立てるようになった自分でした。」

鏡を見なくなったのは、いつからだったか

気づいたときには、洗面所の鏡をまっすぐ見なくなっていました。歯を磨くときも、髪をとかすときも、視線は手元だけ。自分の顔をちゃんと見た記憶が、何年も前で止まっていました。

服も同じです。上の子が生まれてから、買うのは動きやすくて洗える服だけ。試着室に入ることもなくなりました。おしゃれをする理由がどこにもなかったんです。

夫は優しい人です。文句も言わないし、家事も少しは手伝ってくれる。でも私を「女性」として見る目は、たぶんもうありませんでした。それを責める気にもならないくらい、私自身が自分をそう見ていなかったからです。

「きれいですね」と言われて、意味が分からなかった

彼と知り合ったのは、既婚者向けのサービスでした。最初は話し相手が欲しかっただけです。恋愛をするつもりも、正直そんな気力もありませんでした。

3回目に会ったとき、彼が何気なく言いました。「今日の服、似合ってますね」

私はその場で固まりました。何と返せばいいのか、本当に分からなかったんです。ありがとうございます、と言うまでに数秒かかりました。

帰りの電車で、その一言を何度も思い返していました。誰かに服を褒められたのが、何年ぶりだったのか思い出せませんでした。

次に会う日のために、服を買った

変化は、そこから少しずつ始まりました。

次に会う日が決まったとき、私は久しぶりに服を見に行きました。何を着ればいいのかも分からなくて、店員さんに聞きながら選びました。試着室の鏡に映った自分を見て、「まだこういう服も着られるんだ」と思ったのを覚えています。

美容院にも行きました。それまでは近所の安いところで「いつも通りで」と言うだけだったのに、初めて雑誌を見ながら相談しました。

不思議なのは、それが彼のためというより、自分のためになっていったことです。会う予定がない日でも、なんとなく身だしなみを整えるようになりました。

家族が先に気づいた

半年ほど経った頃、上の娘に言われました。「お母さん、最近きれいになったね」

ドキッとしました。バレたのかと思ったんです。でも娘は続けて、「なんか楽しそう」と言いました。

そのとき、自分でも気づいていなかったことを突きつけられた気がしました。私はずっと、楽しそうじゃなかったんだ、と。

夫も何度か「最近元気だな」と言いました。うしろめたさはもちろんありました。でも同時に、私が機嫌よくいることで、家の空気が変わっているのも事実でした。

パートの働き方まで変わった

思いがけなかったのは、仕事にも影響が出たことです。

それまで週4日のパートを、ただ淡々とこなしていました。でもある時期から、シフトのリーダーをやってみないかと言われて、引き受けました。以前の私なら「無理です」と即答していたと思います。

何が変わったのかと考えると、「自分にはまだ何かできる」という感覚が戻っていたんだと思います。誰かに必要とされる経験が、自信の在庫を少しずつ増やしていったのかもしれません。

関係が終わった日のこと

彼との関係は、1年8ヶ月で終わりました。彼の転勤が決まり、遠距離になることが分かったタイミングで、どちらからともなく話し合って終わりにしました。

泣きました。それは本当です。しばらくは何も手につきませんでした。

でも1ヶ月ほど経った頃、洗面所で髪を乾かしながら、ふと気づきました。私はちゃんと鏡を見ている。彼がいなくなっても、その習慣だけは残っていました。

今、思っていること

婚外恋愛を人に勧めるつもりはありません。私がしたことにはリスクがあったし、家族を裏切っていた事実は消えません。

それでも、あの1年8ヶ月で私が取り戻したものは、確かに私のものとして残りました。服を選ぶこと、鏡を見ること、断らずに新しいことを引き受けること。どれも本当は、誰かに褒められなくてもできたはずのことです。

ただ、私にはきっかけが必要でした。そして、そのきっかけが彼だったというだけの話なのだと、今は思っています。

編集部解説:関係より「自分の変化」が残るケース

ゆかりさんのように、婚外恋愛の経験を振り返ったとき、相手との思い出よりも「自分自身がどう変わったか」を語る方は少なくありません。編集部に届く声の中でも、一定数を占める語られ方です。

変化の正体は「承認の再供給」

長く家庭の役割だけを担っていると、褒められる機会そのものが生活から消えます。ゆかりさんが最初の「似合ってますね」に反応できなかったのは、受け取り方を忘れていたからです。外からの承認は、失われていた自己評価を回復させる引き金になります。

ただし、承認の供給元が一つだと危うい

注意したいのは、自信の供給を相手一人に依存した場合です。その人がいなくなった瞬間に、取り戻したものまで一緒に失われます。ゆかりさんの変化が終了後も残ったのは、途中から「自分のため」に行動が移っていたからだと考えられます。この移行があるかどうかが、大きな分かれ目になります。

家庭への影響は良い方向にも出る

本人の機嫌が家庭の空気を変えるという現象は、実際によく報告されます。ただしこれは関係が発覚していない前提で成り立つ効果であり、リスクが消えたわけではない点は変わりません。

よくある質問

Q. 婚外恋愛をしないと、自分を取り戻せないのでしょうか。

そんなことはありません。ゆかりさん自身が「本当は誰かに褒められなくてもできたはず」と語っている通りです。習い事、仕事、友人関係、推し活——承認と刺激を得る経路は他にもあります。リスクの大きさを考えれば、まず別の経路を試す価値は十分にあります。

Q. 服や髪型が変わると、配偶者に怪しまれませんか。

可能性はあります。ただ、急激な変化でなければ気づかれないことも多く、実際ゆかりさんの夫は「元気になった」と受け取っていました。心配なら、変化を一気にではなく段階的に取り入れる方が自然に見えます。

Q. 関係が終わったら、また元に戻ってしまいそうで怖いです。

その不安は自然です。だからこそ、関係が続いているうちに「相手がいなくても続けられる習慣」を作っておくことが有効です。運動、仕事、資格、友人との予定など、相手と無関係な領域に自分の居場所を作っておくと、終わったときの落差が小さくなります。

まとめ

婚外恋愛の体験談というと、始まりのときめきか、終わりの痛みが語られがちです。しかしゆかりさんの話が示しているのは、関係そのものより「自分がどう変わったか」の方が長く残る場合があるということです。

もし今、鏡を見なくなっている方がいたら、その感覚には名前があります。あなたが怠けているのでも、年を取ったからでもありません。役割の中で、自分を見る習慣を手放してしまっただけです。

取り戻す方法は一つではありません。どの道を選ぶにせよ、まず自分がそういう状態にあると気づくことが出発点になります。

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ハナ

ハナ|編集長

42歳・既婚・歯科クリニックパート受付

セックスレス3年、会話の少ない夫婦生活の中で「このまま女として終わっていくのかな」と感じた夜に婚外恋愛の世界へ。自身の1年間のリアルな経験をもとに、同じ思いを抱える方へ寄り添う記事を届けます。

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